そもそも養殖って何だ?

マニュアルの可能性、養殖密度


アクアネット11月号に小堀氏がフランチャイズの可能性について言及していたので、 触発され書いています。

氏の文章が特に目にとまったのは、執筆内容が、学生時代の友人からアドバイスを受けた事とほんとに 似ていた事です。 (個人的に小堀氏は、水産増殖界の前衛で、考えも 斬新で、しかしながら堅実性も持ちこれからの内水面養殖のリーダーとして活躍して欲しい 人間の一人と思っております。)私の友人は、同友会を軸に今も経営の研究・分析をしているとのことです。

友人曰く、
「今のマクド、ケンタッキー、ほか弁に代表されるフランチャイズの特徴はなんといっても 細部に渡るマニュアルが整っている点である。そこで、非常に難しいといわれる生き物の 分野でもマニュアルを作り、これにそった経営をし、従事者を育成する時間の大幅な短縮を はかり、合理化やコスト削減をめざしてはどうか?」
私:「とても養殖には考えられない!」
友人:「リスクは大きいが、これも最初に確立した人間だけに生き残る場が与えられる。 選択は自由だが、冒険するか、先細りを待つか?今の経済は二択しか許さない。」 「頭の下げる角度から、微笑むタイミングまでマニュアル化されている。しかも毎月 審査があって、時間給が決められる。」
私:.....なんか剣道のようだなあ????...礼をする角度まできちんとあったし 級や段などの審査があって、それでどうなんだというと、5段はばかで7段は偉いなどは 全くない。また、自慢することでもない。自己満足の世界(修練の場)。...... 「でも、魚は、天候や水質、水量、病気などで大きく対応が異なるし、調子などは特に、 感性で見るものだしなあ、、、、やっぱ、マニュアル化は難しいや。(感性やセンスは技術ではない。 マニュアルは技術の集合体だ。)」
友人:「しかし、こうなった時こうするという対策と、時期が必ずあるのだから、(放りっぱなしではない) きっと困難でもこうすべきだというノウハウはあると思う。これの積み重ねだ。」 私:「むむ、、、、そりゃ、魚が餌食いたいと催促する事も無いし、すべて人間の手によって やっていることだから、理屈はわからんでもないがなあ。」

友人:「板さんは、雑務と包丁とぎから始まる。理髪業の世界は、まず見る事から始まり、 掃除などの雑務をこなして、一人前になるには何年もかかる。これをマニュアル化し 1〜3年で養成できたら、後発の理髪業でも成功が望める。事実実践しているグループが ある。無理と思われるものほど、チャンスが大きい。」

量産型社会では、感性に頼る『徒弟性産業』はもはや生き残れないのか? 鎌倉以降培われた日本の職人気質は、グローバルスタンダードの前に屈するのか?

小堀氏の文中を引用すると「自分の生産した魚と自分のやり方には自信を持っている。」 そうなんですね、みなさん、職人さんなんですよ。エビの渡辺さんも職人を 目指すと毅然とHP上で書いてました。(私はお宅を目指してますが)

、、、、、友人とのやりとりで、マニュアル作りに取り掛かったのです。 が、、が、、やっぱ、途中で挫折!これが現実です。人工種苗の生産マニュアルを十数年前に作ったことが あります。で、こっちの方がやはり簡単でした。(と言っても、不完全なものですが) これにそってやると、曲がりなりにでも一応、頭と尾がついたものができますからね。 同じ場内で同じ種苗で同じ給餌体系で同じ井戸水でも、池が別だと違うのですねえ。昔は、計数管理さえうまく行けば きっと再現性があると信じて、パソコンを買って管理ソフトを組もうとしたことがあります。 名づけて『ファンクションジェネレータ』簡単な関数(時間との)で表現しようと試みたのです。 また、他にも食った分だけ成長するのだから、飼料効率を掛け合わせて現存量を推測し明日の 給餌量や、予想出荷量を算出しようとしたこともありましたが、うまくゆきませんでした。

ところが最近になって気づいたのですが、『人工種苗』については、やや不正確ながらも定性的に 当たっているのです。つまり数式にしますと、
現在量=初期値+(給餌量×予想効率)−斃死量
これが、ほぼ成り立つのです。不思議ですねえ。でもまだ、この段階です。 (もっとも、個々にはでたらめながらも、マクロ的には湖産種苗でも成り立つのです。年平均、場内平均とかは。 現在尾数=初期値−斃死尾数、も昔には成立しませんでしたね。今なら笑えますが。) 次の日の給餌量を決定できる状況ではありません。

やはり、鮭、鱒類は養殖の歴史、規模、ブレインが違うことを痛感します。 当業界よりもっと合理的な管理方法を確立していることでしょう。

もし、業界でマニュアル化に成功している方がおいでたら、教えて下さい。 内容まで教えてくれなどと、ずうずうしいことは言いませんから。

次に、『養殖密度』の問題です。

長くなるので、また次の機会にしましょう。 これは、養殖とはいったい何なのかを、考え直してみることから始まると思います。 自然に負荷を全くかけないで養殖をするのなら問題はないのですが、かなりな負担を かけて、自然破壊の片棒を担いでいるからには、高密度でのしかも効率のよい養殖は 責務でしょう。また、養殖経営の経済もそう言っています。